お店や企業の経営者あるいは担当者の中には、社名や商品名にロゴマークを取り入れようと、検討しているケースがあるかもしれません。一見して簡単そうに思えるロゴマークであっても、実は深い知識やノウハウが求められます。
そこでロゴマークの作成を希望するのであれば、あらかじめ基本的な知識を理解しておくことが大切です。ここではロゴマークのデザインや素材など、基本的な事柄について説明します。
厳密にいえば、ロゴとマークは別々のものです。ロゴとは企業名や商品名といった文字をより簡潔かつシンボリックに表現することで、人々が認識しやすいようにデザインされた、オリジナルな書体を意味します。その一方でマークとは、企業やお店あるいは商品やサービスの印にあたるもので、それを視覚的かつ感覚的に記号化または図案化したものを指します。
この両者を組み合わせてワンセットにしたものが、いわゆる一般的にロゴマークと呼ばれるものです。
企業名や商品名をわざわざロゴマークにするのは、もちろんそれなりの効果が期待できるからです。企業やお店であれば、理念やビジョンあるいは使命や目標などをロゴマークの中に込めることで、一般世間に対するブランドイメージの向上や、社内での意思統一に役立てることができます。
また商品やサービスにロゴマークを付けることでも、消費者へ広範かつスピーディーに認知および記憶させて、効率的なマーケティングや売上のアップにつなげることが可能です。ロゴマークの効果を活かせるのは、企業や商品のように利益を追求する場面だけではありません。
誰でも容易かつ瞬時に理解できるため、公共空間でも幅広く活用されています。例えば公衆トイレで見かける男女別のマークや、駐車場の路面に表示されている障害者スペースの表示、あるいは学校や病院の階段等にある非常口のマークなどは、日常生活でもよく見かけるはずです。
ロゴマークというと、商品のパッケージやパンフレットあるいは名刺やホームページ等に、直接印字されたものをイメージするかもしれません。もちろんそれも間違いではありませんが、意外と見落としがちなのが、ロゴマークの付いたラベルシールでしょう。
例えばコンビニへ行けば、陳列棚の食品には様々なロゴマーク入のシールが貼ってあるはずです。またスーパーではタイムセールの半額シールや、陳列棚のポップに貼り付けてある食品ラベルなども、目にすることができます。
ちょっと特殊なケースでは、精密機器といった工業製品に貼る警告表示のシールや、機密性の高いハガキに貼る個人情報保護シール、あるいは商品の開封を見分けることができる改ざん防止シールなど、目立つロゴマークやカラーでラベルが活用されています。
このようにロゴマークをシールのようにラベル化することで、いつでもどこにでも貼り付けて、容易に表示の存在を周知することができます。
前述したようにロゴマークの入ったラベルは汎用性が高いという面でも、大きなメリットや魅力があります。ただしロゴマークをラベルにすれば、何でもよいわけではありません。汎用性が高い分だけ、それぞれの用途に見合った素材や形状あるいはデザインが求められます。
例えば冷凍食品に貼るラベルはどうでしょうか。通常のシールであれば冷凍庫の低温や、商品に付着した水滴等によって、すぐに剥がれてしまうはずです。このようなケースでは、低温適性のある特殊な粘着剤を使用した、冷凍用のシール素材を選ぶ必要があります。
同じく食品としては、ケーキのようにシールを直接貼れない商品もあるでしょう。そこでケーキに直接挿し込めるピック形状のラベルが、実際の店舗では活用されています。星型や円型といった形状のピックラベルには、店名や商品名のロゴマークを入れ、陳列ケースからお客様に目立つように工夫されています。
特別な用途になると、さらにラベルに求められる素材や形状の重要性が高まります。例えば工業機械に貼る感電危険ラベルなどは、直ぐに剥がれてしまったり、ロゴマークの入った印字が落ちてしまうと、重大な事故を招きかねません。
そこで耐久性や耐水性あるいは汚れにも強い素材が求められます。またロゴマークも目立ちやすいカラーやデザインだけでなく、印字が落ちにくいインキを使用することも必要です。実際にこのような用途のラベルシールでは、水や泥に強く耐久性に優れるフィルム系のユポ素材を採用したり、表面保護やツヤ出しを促進するためにラミネート加工したもの、さらに特色インキ等を使用することで印字の落ちにくさや、表示内容の目立ちやすさを実現するなど、様々な工夫が見られます。
ロゴマークの作成にあたっては、やはりプロのデザイナーあるいはデザイン会社に依頼することをおすすめします。ここまで説明したことをトータルに、素人の方だけでスムーズにやろうとするのは、なかなか難しいのが現実。
例えばロゴマークを担当する社員にデザインセンスがあるとは限りませんし、ロゴマークに込めるコンセプトを十分に理解した上で、それをしっかりデザインに反映できる技術があるとも言えないでしょう。またロゴマークをラベル化する場合でも、その用途にふさわしい素材や形状を実現できるのか、素人の方では判断できないことが多々あります。
もちろん既にプロのデザイナーが所属している企業や団体であれば、この限りではありません。さらに難しいことは、法律上の問題です。いくらデザインに優れ、自分たちのニーズにピッタリなロゴマークであっても、それが既に商標登録されていたり、あるいは極めて類似しているものであれば、使用することはできません。
仮に使用し続ければ、商標権を持つ第三者から使用の差し止めや、損害賠償請求の訴えを起こされることがあります。このようなリスクを回避するには、ロゴマークの作成段階において、類似商標調査をすることが必要です。
このような調査では専門的な知識やノウハウが必要になる上、時間や手間もかかります。したがって特許や商標権の専門家である、弁理士に依頼するのが無難でしょう。
ここまで紹介してきたように、ロゴマークには企業や商品のブランドイメージを向上させたり、公共空間を利用しやすくするなど、様々な力を秘めています。さらにラベル化することで、その効果を一層高めることも可能です。
ただしそれぞれの用途に見合った理想的なロゴマークを実現するには、素人の方だけでは難しいかもしれません。作成を希望するなら無理することなく、速やかにプロへ依頼することが成功への近道です。